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戸松有葉の ショートショート1001作を目指す旅

ショートショートとAmazon電子書籍販売・配布の活動をしています。

ノーマル(シリーズ外)

972 音楽で事足りる

この時代、猫も杓子も、音楽を聴いていた。 人類は古代からそうだったといえばそうだが、昨今のものは事情が異なる。 音楽大勝利の時代に突入していたのだから。 * 文明が発達すると、世の中には様々な娯楽・芸術・実用技術が溢れた。音楽はその内の一つで…

970 死の宣告

着実に死へ近付いている音楽家があった。死神はその魂を回収する気なのだが、困ったことに、この音楽家のような才覚と実績を備えた者の魂は、扱いが難しい。端的にいえば、強いのだ。逆らわれでもしたら死神でも手こずる。しかしそうした魂こそ上玉であり、…

969 このクラスで一番要らない人間は誰か

このクラスで一番要らない人間は誰か――。 ある公立中学の教室で、この議題が話し合われていた。一度のホームルームでは時間が足りないため、連日続いている格好だ。 要らない人間認定されれば高確率でいじめの標的になる。お墨付きを得られたいじめほどやり…

968 野球バカになるな

彼は、父から野球の英才教育を受けていた。就学前はずっと野球の練習、就学しても休日は特に練習に費やされる。他の遊びなどしている暇はない。 金も手間も惜しみなく使われ、家には専用のバッティング練習器具があったほどだ。野球は道具を揃えねばならない…

967 恋人との過ごし方

彼には、恋愛感情もあれば、性欲もある。それらが薄く標準以下という事実もない。 しかしどうしてもわからないことがあった。 休日は恋人と過ごすのが当たり前、という常識。 彼には現在、同じ大学で付き合っている彼女もいるが、その彼女からもはっきり聞い…

966 休日なにしていますか? 忙しいですか? 救いないですか?

『あなたは休日に何をしていますか?』 私はこんなアンケートを実施してみた。 とてもありきたりな質問だ。 では、有意義な回答や面白い回答、問題が浮き彫りになる回答が得られないかと言えば、それは違うと思う。だからこそ私は実施したのだ。 そうは言っ…

964 鉄道好きの子供が何か言っていて邪魔だ

別段、正義感溢れる青年ではなかったという。今の時代、どういった青年を標準とすればいいかわからないが、普通の青年だったというのが周囲の評価だった。 その彼が、遮断器の降りた踏切内にいる高齢者を助け、自らは命を失ってしまった。 この件に絡み、世…

963 誇大広告禁止

よく耳にする、広告文句。 この映画に、全米が泣いた、震撼した――。 有名俳優が起用され制作費も膨大で、実際ヒットもしていることは、誰も否定しない事実だ。しかしながらこうした広告文句については、嘘と断じる他ない。 日本のような国ならまだしも、アメ…

962 俺を殺した奴が次の俺

勝ったほうが正義だというほど世は単純ではないが、負けたほうが正義を主張できないのは確かだ。 この意味で、俺は常に正義を主張できる側にいられた。常に勝者だったからだ。 何故なのか。運が良かったからでも、才覚を持って生まれたからでもない。俺の特…

897 天候を操る能力ッ!

日常が壊れたあの日から、少年は学校からの帰宅さえすんなりさせてもらえない。 今も人気のない路上で、敵の刺客が道を塞いでいた。 「お前、すげえ異能得たそうだが、使いこなせなきゃ意味ねえよなあ」 少年は能力に目覚めてから日が浅い。刺客のほうはそう…

ふさわしい動物名

ある時ナマケモノのもとに、一羽の鳥がやってきて尋ねた。「浮かない顔をして、どうしたんだい」「実は俺、人間に不名誉な名前を付けられて」 ナマケモノ。 「酷い! それならこっちも、人間に名前を付けてやろうじゃないか」 案は色々と出た。 うじ虫、寄生…

お客様のなかに

「お客様のなかに、お医者様はいらっしゃいませんか」 機内がざわつくなか、一人の男性が応じた。 客室乗務員は頬が緩み、しかし真剣な目で言った。「私と結婚してください」「喜んで」 婚約を済ませると早速、乗務員は次の人を探した。 「お客様のなかに、…

お茶も飲み過ぎれば死ぬ

「健康的とされるお茶だって、大量に飲めばカフェインの致死量に達して死ぬ!」 彼は力説していた。 僕はその知識を持っていたので、何の驚きもない。 でも彼が続けた言葉には、多少驚きを覚えた。「だから俺が、お茶を飲み過ぎたら死ぬことを証明してみせる…

なろうユーザー失格

※本作は、「小説家になろう」時代に、ユーザー間で通じる内輪ネタとして投稿したものです。が、作者自身が気に入っており面白いので、こちらでも掲載することにしました。本ブログで1001作を目指すSSの数にはカウントしません。 +++ 恥の多いなろう人…

703 着信音を鳴いた

※一旦ボツにしたものからサルベージしてきたものです。※「小説家になろう」時代に、はてなユーザでもある、くにさきたすくさんの二次創作フリー宣言を受けて創作したものです。 ショートショート+ ショートショート+ 【タイトル】着信音を鳴いた 【本文】 …