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戸松有葉の ショートショート1001作を目指す旅

ショートショートとAmazon電子書籍販売・配布の活動をしています。

964 鉄道好きの子供が何か言っていて邪魔だ

別段、正義感溢れる青年ではなかったという。今の時代、どういった青年を標準とすればいいかわからないが、普通の青年だったというのが周囲の評価だった。 その彼が、遮断器の降りた踏切内にいる高齢者を助け、自らは命を失ってしまった。 この件に絡み、世…

963 誇大広告禁止

よく耳にする、広告文句。 この映画に、全米が泣いた、震撼した――。 有名俳優が起用され制作費も膨大で、実際ヒットもしていることは、誰も否定しない事実だ。しかしながらこうした広告文句については、嘘と断じる他ない。 日本のような国ならまだしも、アメ…

962 俺を殺した奴が次の俺

勝ったほうが正義だというほど世は単純ではないが、負けたほうが正義を主張できないのは確かだ。 この意味で、俺は常に正義を主張できる側にいられた。常に勝者だったからだ。 何故なのか。運が良かったからでも、才覚を持って生まれたからでもない。俺の特…

961 スイーツ脳作家

斬新なアイデア・作風で文筆作品を発表し続ける作家がいた。現在、齢七十であるが、どの時代でも新進気鋭かのようで、他のベテラン作家や個性派作家と一線を画す存在だった。 そんな作家だと格好の取材の的になる。 ある記者も数年前から継続してこの作家を…

960 子供の選択

綺麗なショーケース。女の子は呆けそうになりながら、そのショーケースを眺めていた。無論、ショーケースそのものを綺麗だからと眺めているのではない。 陳列されている、数々のスイーツに目を奪われているのだ。 「欲しいの、選びなさい」 女の子は、同行し…

959 スイーツプリンス

情報が出始めると、女性オタクは怒りさえ持って叩いた。このスイーツプリンスプロジェクトの資本は、これまで彼女らが既存コンテンツに「貢いで」きたものだ。その金で次は何をしてくれるのかと期待していたら、とんだ期待外れだったのである。 直接のターゲ…

954 新しい刑罰

電車の座席に腰掛けると、ここまで男を連れてきた者たちは立ち去ってしまった。 久しぶりに拘束具も檻もなく、自由に動ける。とはいえ、車内限定だ。電車の扉は閉められ、すでに動き出しているのだから。 電車内にはその男一人しかいない。一人というのは本…

953 彼は悪くない

サッカーでは、時間内に決着がつかなかった場合、PK戦で強引にでも勝敗を決める。強引だ。これまでの競技とは離れていると言っても過言ではないミニゲームで、勝敗が決まってしまうのだから。PK戦は心理戦やゴールキーパーの腕が影響するとしても、トー…

952 大石内蔵助の疑問

大石ら赤穂浪士に踏み込まれ、刀を向けられている吉良は、黙っていられなかった。「おのれ貴様ら、狂ったか! 主君が殺し損じたから代わりに完遂する……それが貴様らの忠義だとしても、主君の無念を晴らすには、より優先すべき相手がいるだろう。被害者の私を…

951 トラックに轢かれれば異世界へ

「大型トラックに轢かれれば、死ぬ!」 彼は力説している。 僕も死亡の可能性は同意でき、反論もないので、落ち着いて黙っていられた。しかし彼が続けた言葉には多少驚きを覚えた。「そうすれば異世界に行けることを、俺自身で証明してみせる!」「君のバカ…

950 魔法少女

「あなたたちももう中学三年生なのだから、くだらないことばかり話していないで、自分の進路を考えなさい」 女性教師が、中学生の集まりを一喝し、散らせる。 生徒たちは不満だ。別に授業中だったわけでもなく、教室内で少人数が集まって話すくらい迷惑にな…

949 白い理由

その男子高校生は、女子生徒たちに羨ましがられていた。 肌が白かったからだ。 しかも男子は野外競技の運動部員であり、逆に黒くてもおかしくない、黒いのが自然だ。だから色白であることに理由があるのではないかと、女子たちは思うのだった。(って言われ…

948 登下校は安全第一で

その小学校では自転車での登下校が許されていた。もちろん児童の安全は第一に考えられている。ヘルメットの着用は義務付けられており、一%の違反もないほど守られていた。 しかしある時、児童が転倒により頭部を怪我した。幸い命に別状はなかったが重傷であ…

943 自警団

正義を気取っている彼らこそ、彼らに殺される対象の悪ではないか――。 その「自警団」が人々に認識されてから、こうした批判・皮肉・非難はあった。テレビや新聞のような一方通行メディアだけでなく、インターネットでの個人からも同様に指摘されている。 初…

897 天候を操る能力ッ!

日常が壊れたあの日から、少年は学校からの帰宅さえすんなりさせてもらえない。 今も人気のない路上で、敵の刺客が道を塞いでいた。 「お前、すげえ異能得たそうだが、使いこなせなきゃ意味ねえよなあ」 少年は能力に目覚めてから日が浅い。刺客のほうはそう…

ふさわしい動物名

ある時ナマケモノのもとに、一羽の鳥がやってきて尋ねた。「浮かない顔をして、どうしたんだい」「実は俺、人間に不名誉な名前を付けられて」 ナマケモノ。 「酷い! それならこっちも、人間に名前を付けてやろうじゃないか」 案は色々と出た。 うじ虫、寄生…

お客様のなかに

「お客様のなかに、お医者様はいらっしゃいませんか」 機内がざわつくなか、一人の男性が応じた。 客室乗務員は頬が緩み、しかし真剣な目で言った。「私と結婚してください」「喜んで」 婚約を済ませると早速、乗務員は次の人を探した。 「お客様のなかに、…

お茶も飲み過ぎれば死ぬ

「健康的とされるお茶だって、大量に飲めばカフェインの致死量に達して死ぬ!」 彼は力説していた。 僕はその知識を持っていたので、何の驚きもない。 でも彼が続けた言葉には、多少驚きを覚えた。「だから俺が、お茶を飲み過ぎたら死ぬことを証明してみせる…

なろうユーザー失格

※本作は、「小説家になろう」時代に、ユーザー間で通じる内輪ネタとして投稿したものです。が、作者自身が気に入っており面白いので、こちらでも掲載することにしました。本ブログで1001作を目指すSSの数にはカウントしません。 +++ 恥の多いなろう人…

703 着信音を鳴いた

※一旦ボツにしたものからサルベージしてきたものです。※「小説家になろう」時代に、はてなユーザでもある、くにさきたすくさんの二次創作フリー宣言を受けて創作したものです。 ショートショート+ ショートショート+ 【タイトル】着信音を鳴いた 【本文】 …