なろうユーザー失格
※本作は、「小説家になろう」時代に、ユーザー間で通じる内輪ネタとして投稿したものです。が、作者自身が気に入っており面白いので、こちらでも掲載することにしました。本ブログで1001作を目指すSSの数にはカウントしません。
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恥の多いなろう人生を送って来ました。
自分には、小説家になろうというものが、見当つかないのです。
自分が小説家になろうに登録したのは、この手記の約一年前なのですが、動機は消極的なもので、公募の落選作、あるいは応募に至らない没原稿があったため、その置き場所として、偶然目にとまったからでした。
小説家になろうというサイトをまるで知らずに、ただ、持っていても仕方ない原稿の置き場所として選んだのです。
投稿するにあたり、短編と連載があることを知りました。その際、完成原稿は短編に投稿するということで(長編原稿ではありましたがサイトの説明からは短編に分類されるのだと思ったのです)、短編で投稿しました。
反応はなかったわけではありませんが、どうにも様子がおかしいことに気づき、他の方々の作品を見ていくと、長編原稿は連載形式で小分けにして投稿するものだと知り、連載で投稿しなおすという、ポイントを入れていただいた方には失礼なことをしてしまいました。
せっかくなろうに登録したのだからと、皆のように、連載を始めてみようと思い立ち、構想もないまま、始めました。
しかし「異世界」とは、「架空の世界」というよりも、現代日本から異世界に転移・転生することを指すのだと知らなかったため、浮いたものとなっていました。
ライトノベルはこれまでも書いていたのですが、なろうには独特のテンプレートがあるのだと知り、チーレムやエタるといった言葉を知ったのもこの頃です。
更新頻度の問題もありました。基本的に毎日更新するもの、との意識はまるでなく、当初は希に更新すればいいと思っていたのです。路線はすぐ変更して毎日書いては更新するようにし、読者もいてくれたので完結まで至りましたが、なろう的には外れている「異世界ファンタジーハーレムもの」となってしまいました。
登録からひと月ほど経った頃でしょうか、他ユーザーがショートショートを投稿しているのに触発され、自分も投稿してみることにしました。
ショートショートは小学生の頃、星新一の影響で書いていましたが、ライトノベル公募においては、短編がわずかにあるだけであるため、書くのは久しぶりとなりました。
これが、一部読者の心をつかむことに成功し、新たななろう人生が始まったのです。
後に投稿数がなろう全体でも上位になるほど、投稿をしたのですが、まだ始めたばかりの時、突然の、運営からの警告で、危機を迎えました。
警告を受けていると、次はアカウントを削除されます。
せっかくなろうで自分の居場所を見つけたと思ったのですが、やはりなろうのことを全然理解していなかったのでした。
居場所といっても、なろうでは連載の高ポイント作が主流であり、それ以外はノイズであることに変わりはありません。
書籍化といったものとは縁遠い投稿を続け、ノイズであり続けていましたが、思いも寄らぬところから、自分も代表的な連載作を持つことになりました。
病気でのエッセイを書き、ブックマーク数が三桁を超えてしまったのです。
エッセイ!
まったく想定していませんでした。ライトノベルを書き、ショートショートを書き、ノイズであり続けたのに、エッセイで読者を獲得してしまったのです。
何がウケるのか、なろうのことがますます理解できなくなっていった出来事でした。
ブクマ三桁といっても、なろう内ではやはりノイズの域を出ません。そしてそれ以上を望んだことはありません。向上心がないとされるのかもしれませんが、どうにも高ポイントを狙うという行為が理解できないのです。
そうして、投稿数が一位に届こうかというところまできた時、それは訪れました。
アカウントを削除されたのです。
もはや、自分は、完全に、なろうユーザーで無くなりました。
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この物語はフィクションであり、実話としてはアカウント削除されずに投稿数一位になれました。現在もアカウントはあります。(この記事掲載時点では。)しかしかなりピンチだったりするので、余計このネタが引き立つという笑えない事態に……。