戸松有葉の ショートショート1001作を目指す旅

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ふさわしい動物名

 ある時ナマケモノのもとに、一羽の鳥がやってきて尋ねた。
「浮かない顔をして、どうしたんだい」
「実は俺、人間に不名誉な名前を付けられて」

 ナマケモノ

「酷い! それならこっちも、人間に名前を付けてやろうじゃないか」
 案は色々と出た。
 うじ虫、寄生虫、ゴキブリ、猿、ゴリラ、ハイエナ……。
 しかしどれも、すでにいる動物たちに失礼だ。
 鳥は困り、
「馬鹿でどうだ」
「馬さんと鹿さんに失礼だよ」
「なら阿呆でいこう!」
 ようやく決まった。人間にふさわしい名前が。
 鳥は飛び立つと、人間に向かって力の限り叫んだ。

「アホウ! アホウ!」

 聞き届けた人間は、その鳥の名前を決めた。

(了)